夏鳥と冬鳥

季節の移り変わりの中で鳥もいろいろと登場します。

春分の「雀始巣 すずめはじめてすをつぐう」(3月下旬)
清明の「玄鳥至 つばめきたる」(4月上旬)
清明の「鴻雁北 こうがんかえる」(4月下旬)
白露の「玄鳥去 つばめさる」(9月上旬)
寒露の「鴻雁来 こうがんきたる」(10月上旬)
小寒の「雉始雊 きじはじめてなく」(1月上旬) など。

ツバメや白鳥などは季節を告げる代表的な鳥です。
そのツバメなどは夏鳥(なつどり)、白鳥やカモなどは冬鳥(ふゆどり)、そして年通に見かける鳥など。ちょっとした時間、空や公園、道沿いの木々、池や川など身近な風景でも目を目を向けてみたら何かに会えるかな。

夏鳥、春を告げるツバメの渡来

春になり、日差しがあたたかく感じられるころ、どこからともなくツバメが姿をあらわしはじめます。その数は日ごとにふえていき、木々の緑がこくなりまじめるころ、民家の軒下やまち中のアーケードなど、あちこちでツバメが巣づくりをする姿を見かけるようになります。ツバメのように、春から初夏にかけて南方の国から日本へ渡ってくる鳥を夏鳥(なつどり)とよびます。夏鳥は日本に渡ってきてから巣づくり、子育てをして、夏のおわりには南方の国へ帰っていきます。日本が子育ての国であることからすると、夏にわたってくるとういよりも、日本へ帰ってきたという表現の方がふわしいかもしれません。夏鳥のヒナが生まれるころ、日本では野山の草木がどんどん成長し、植物を食べる昆虫など、小さな生き物たちがいっせいにあらわれて活動をはじめます。鳥たちの子育てにはたくさんのえさが必要です。そこで、えさになる生き物が発生する時期にあわせて、巣づくりと子育てをするのです。子育てのために日本にやってくる夏鳥には、ツバメにほかに高原のカッコウ、森で美声を聞かせてくれるオオルリやキビタキなどがいます。

引用元:野山の鳥を観察しよう 山や森・草原・まちの鳥

冬鳥、北方から渡ってくる鳥

秋のおわり、北方の国から日本へ渡ってる鳥を冬鳥(ふゆどり)とよびます。鳥たちは、ほ乳動物と同じく、自分で体温を一定に保つことができる恒温動物(こうおんどうぶつ)です。羽毛におおわれているので、寒さに弱いわけではありません。しかし、えさを食べなければ体温を保てません。そこで冬鳥たちは夏の間子育てをしていた北方の地が、雪と氷におおわれて、えさが取れなくなる前に、えさのとれる日本へ渡ってくるのです。冬鳥と聞くと、真っ先に思い浮かぶのは、水辺をにぎわすカモやハクチョウではないでしょうか。カモやハクチョウは、まちの公園の池で見られることもあり、からだが大きいので渡ってきたことを実感できます。しかし、山野にやってくる冬鳥たちはからだが小さく、冬鳥と知ったうえで観察しないと、渡ってきたことに気づきません。水辺以外で身近に見られる冬鳥の代表は、ジョウビタキ、シロハラ、ツグミなどです。ジョウビタキは公園や庭先の実に誘われてやってくる小型の鳥です。「ヒー、ヒー」とよく通る声で鳴きながら、尾を上下に細かくふり、木の実を食べるなどしています。ツグミは開けた農耕地などで、地面にひそむ小さな生き物をさがす姿が見られます。シロハラは落ち葉でおおわれた地面をカサカサと小さな音を立てながら歩きます。そしてトランプの神経衰弱ゲームをするように落ち葉を1枚1枚くちばしでめくり、その下にかくれている昆虫や木の実を探して食べます。これらの野鳥は単独でくらしています。

マヒワやアトリは、群れで暮らす冬鳥の代表です。群れで冬枯れの山野を飛びまわり、移動をくりかえしながら樹木の趣旨を食べるなどしています。毎年、同じ時期に同じ場所で同じ鳥を見ることが多く、きちんと記録をつけておけば、翌年の観察の手がかりになります。冬鳥は春の気配が感じられるころ、元いた北国へもどり、巣づくり、子育てをします。そして、秋のおわりごりになると、飛べるまでに成長した若鳥とともに、再び日本へ渡ってきます。

引用元:野山の鳥を観察しよう 山や森・草原・まちの鳥
コマドリ/ヒタキ科の夏鳥、全長約14センチ。
九州以北の山地から亜高山帯のササなどが繁茂する林に生息、大隅半島と伊豆諸島の一部では留鳥として生息するものもいる。